2010年6月4日金曜日

クマ

ツキノワグマが里に降りてきて…条例で撃ち殺してもよくなった頃のなぐり書き。
ツキノワグマ達が射殺されている。
その理由は、クマが人里に現れて人を脅かし、リンゴ畑を荒らすから。
その片寄った情報を大量に垂れ流して大衆を扇動するマスコミ。
私達は、地球が大切だとか、共存・共生の時代だとか言いながら、実は己のことしか考えられぬ生き物になり下がった。
クマより始末が悪い。
クマがリンゴを千個食べるから悪いのか?
クマも生きているから、腹が減った。
お母さんグマは子育てのために食べ物が欲しい。
クマは、ひっそりと暮らしていた山に食べ物がなくなったから遠出をした。
山を歩くクマ。山は荒れ放題。
下草も伸び放題だから、人里じゃないと歩いていたら、
急に視界がひらけて、びっくり。
歩いたこともないコンクリートの道
でも、やっと見つけた食べ物。
残飯をあさった。
リンゴを食べた。
金を持っていないなら、命を引き換えろとクマに銃を向ける人間たち。
人間をびっくりさせた罰だと、クマを檻に閉じ込め、射殺する人間たち。
マスコミは、クマを擁護するどころか、クマは危険な動物だと何度も何度もがなりたて、人々を不安におとしいれた。
不安になった人々は、遠出をしない、ひっそりと山に暮らすクマまでも捜し出して、打ち殺すことにした。
クマは危険だ。害獣だ。
人々は年間に八百頭のクマを血祭りにする大義名分を得た。
山にこだまする猟銃の音。逃げ回ることもままならぬクマたち。
銃殺されなくても餓死してしまいそうにガリガリにやせたクマたち。
真っ白な胸の三日月が血に赤く染まる。
親を無くした子熊達。小さい命にも銃は向けられる。
「大きくなったら危ない。」
「親を無くした熊は生きていけないだろうから…」
勝手な理由をつけ、殺すことに快感を得る人間たち。
殺す者と殺されるモノ。殺す方はいつも必ず優位に立っている。

あるイノシシ狩りをする人が、私にこっそりと教えてくれた。
「自分が殺されないと確信できる狩りは楽しい。とくに大きな命は知恵もあるからゲームを楽しめる。本当はイノシシよりも人間狩りをしてみたい」
 クマは頭がいい。知恵もある。
一方、今年の台風で七十%のリンゴを落とされ、残りの三十%をクマに荒らされたリンゴ農園の男性が目を潤ませながら、テレビカメラのインタビューに答えていた。
「リンゴはクマにプレゼントしたと思って開き直れます。しかし、農園をやめるか続けるか、今は考えられる状態でない…」
怒りとも悲しみともつかぬ言葉でポツポツと話していた。
彼は一言もクマが悪いとは言わなかった。
 動物狩りの人々よ。あなた達にはリンゴ農園の主人の声が聞こえたのか?

0 件のコメント:

コメントを投稿