2010年3月27日土曜日

『第9地区』ーDistrict 9ー


 アカデミー賞にノミネートなら…そのうたい文句で興行も見込める。それでやっと、日本公開? というわけではないでしょうが、面白い映画です。
さて、この監督はまだ29才。D9の舞台と同じ南アフリカ生まれ。高校生ぐらいまでは南アで育ったらしいです。その頃グラフィックデザインのバイトをしていただけに、そういった方面の才能もあるようで、監督や脚本で稼ぐ前には、CGデザイナーで食べていたようです。だからなのか、この映画、CGにありがちな「絵がストーリーやテーマとかけ離れる」ことがないので、ホントにエイリアンのニュースを見ているような錯覚に陥ります。昔懐かしウルトラマンなどの円谷映画のドキドキを思い出します。子供の頃ホントにバルタン星人がいると思っていた(笑)
とにかく才能溢れるこの『Mr.ニール・ブロムカンプ』の登場は、「追突」「ジョーズ」で映画界にデビューし、そのまま才能溢れる道を走り続けている「スピルバーグ」と同じにおいを感じるのは私だけではないでしょう。
 ストーリーは、日本版の予告編を見るとそんな映画だったっけ?とガッカリですが、社会派映画のようにしっかりしてる。テーマも私たちが忘れつつある「信頼」がしっかり書けてます。できれば英語が判る判らないにかかわらず、字幕ナシで見ていただきたいです。細かいことは抜きにして感動は充分伝わります。字幕をおっかけると(私ですが…)、せっかくの細かい映像や迫真に迫る演技に引き込まれるのがおろそかになっちゃうので…という理由です…。
 キャストに有名人がいないことが、ホンモノっぽさをかもしだす要因があるかも…。これからの映画にはこういう作り方もアリかもしれないです。めちゃドキュメント映像になってます。見たことない人たちばっかりだから…(笑)

ついでに、MR.ニールのD9のインタビューはコチラ
http://www.youtube.com/watch?v=m_6Os_o13Vk
肌がピンピン若いです。

 主演のシャルト・コプリー。この映画を成功させたひとりの彼は俳優ではなく、南アのCMやミュージックビデオのプロデューサー。ニールとは友人関係。たまたまカメラ・テストをしたところ、指輪物語のプロデューサーのピーター・ジャクソンも認める演技力。俳優経験がないのに、主演として起用。そのおかげなのか…特攻野郎Aチーム(映画版)のマードック大佐にも起用されたらしいです。とにかく、コプリーの鬼気迫る演技は、ホントにエイリアンになっちゃうんじゃない?っていうぐらい凄い。性格も悪くて(役としてネ)、頭にくるけど…(笑)
 3回ぐらい見ちゃったけど、毎回面白かったです。これからも応援したい「MR.ニール」。

 余裕あれば、見る前に南アフリカの人種差別等の文化と社会を予習すると、ニールが多感な頃、肌から学んだものを共有できるかも。