2010年4月19日月曜日

ゾンビエアポート


私はゾンビ映画がきらいではない。
さて、この映画は残念なことに、日本では未公開。DVDでの鑑賞。
閉ざされた空間(飛行機の中)、美人ゾンビ一体がカーゴに…蘇生した彼女は乗客を喰う、喰われた乗客はゾンビになる。ゾンビがどんどん増えていく。未ゾンビ(つまり人間)は、ゾンビと闘う。ゾンビ飛行機になったことを知った政府はその飛行機の撃墜を軍に命令。中ではゾンビ。外からは軍機に狙われる民間機。まだ人間はいるのに…どうなる?

…面白かった。笑いどころいっぱい。

まず、邦題のタイトルがよい。
原題は「Flight Of The Living Dead」
邦題は「ゾンビ エアポート」(原題にはairportなんてナイ)
判りやすいが、エアポートが舞台ではない。というか…空港なんて出て来ない。九割以上のシーンが飛行機の中。だったら「ゾンビ飛行機」だろうと思うのだが…(笑)

もちろん、この映画の製作に、金なんかほとんどかけてない。
制作は2007年←コンピュータばりばりの時代に、あえて、そんなものに頼らず、今や懐かしい昔ながらの判りやすい特殊メイクのゾンビがいっぱい出てくる。
そして、ゾンビ役の役者さんの動きがよい。たぶん素人さんたちばかりなんだろうけど、ひょこひょこと、足元を気づかいながら歩く。それでOKを出してしまう監督の勇気に拍手。ゾンビスッチーなどなど、楽しいゾンビキャラクター満載。
見ていると、自分もゾンビ役で出演したいと思ってしまうのは、きっと私だけではないと思う。
そして、日本人のためのボーナストラック(トラックじゃないのだけど…)
日本人男性乗客。彼もゾンビになるのだが…。ゾンビになっても、非常に日本人らしい演出に笑わせてくれる。そして外人さんからすれば「日本人と飛行機」の連想は「神風」なんだろう。彼の最期は神風特攻隊を彷彿とさせる…。

もちろん、ホラーのツボもちゃんと押さえているので、心臓ドッキリ「わっ、びっくりしたぁ」と、お化け屋敷の基本がある。

ゾンビものは、ある意味…深い。

2010年4月16日金曜日

アーマード ー武装地帯ー

 マット・ディロンとジャン・レノの「アーマード」だと思った。おっさんぽく太ったジャン・レノがどんな主役(もしくは準主役)を演じてくれるのだろう?しかも、爽快&笑える「銀行強盗映画」だと思った。チラシから受けた感覚ってそんなもんだった。だから…軽い感じで見始めてしまった………。

しかし、40分位から、それは、すべて……

間違い…だったかもしれないことに気付き始めた。

これは「コメディ」じゃない…もしかすると私の苦手とするお化けの出ない「スリラー」かも(TT)

でも、もう遅い…(TT)

しかも、主人公は写真の人。だれ?コロンバス・ショート??私は知らなかった。
チラシには、どうにか顔だけが出てる程度。これじゃあ、気付かないよぉ…(TT)
マット・ディロンの役だって、全然ヒーローじゃない、ワルになるにしても、かっこいいワルではない。チープな性格の役。
そして、一番見たかったジャン・レノは、もっとチープなおっさんの役。
しかし、ふたりはコレをとっても普通に演じている。こういう大物が、こんなチープな役柄を真面目にしかも気合を入れずに、普通に演じているのが…改めて、大変よかった。
「大物役者にチープな演技を頼んだ監督、凄いなぁ。他にどんなのを監督しているの?」と思ったら、映画では「モーテル」だけの経歴…唖然。
金もあまりかけてない映画…だと思う(映画の中では4200万ドル(約39億円)を盗むから、紙幣が舞い散るけど…
もちろん、CGナシ
でも、ハラハラ・ドキドキ
心臓も高鳴る。
どうなるの?どうなるの?と呼吸をとめてしまう…。
終わり方もよかった。
ハラハラドキドキだけでなく、「何が大事なのか?」を再度認識させてもらった映画だった。
また、イラク戦争からの帰還兵に触れている。
でも、戦場だけでなく、日常に溢れている「悪」はもっと恐い。
いつ誰が「悪」に傾くか?
そして「悪」に傾きかけているとき、もしくは「悪」にかたむいたとき、本人や周りはそれがわからない。
それが人間の哀しさ。それをきちんと描いている。
日常だからこそ、戦場でないからこそ、強い意志で自分をフカンできる能力が必要なのかもしれない。
脚本になる前の本は、もっと深く、ひとりずつの背景がしっかり描かれていると思う。
本を映画にするのは難しい。時間や経費等の考えられない程の制限がある。
描きたいけど、色々な理由で描けない所がたくさんあると思う。
しかし、テーマさえしっかり押さえていればよいと思う。

悲しい事に、この映画を「ツッコミどころ満載」と評価している方々がいらしゃる…
少々の「アレ?コレ変じゃない?」と「ツッコム」のは、陳腐。
「ツッコミ」とは製作側が「ツッコンデネ」と用意してあるところを、「ここだ!」と見つけて「ツッコンデ」笑う。
制作側と視聴者側が笑いを共有するところに面白みがある。
「ツッコミ」は、嘲笑とは違うので、要注意。

さて、さて、間違って、見てしまったけど…
とっても、よかった。
見終わって、感動しているわけでないのに、私の目から涙が出てた。
本がよく出来ている。チラシをよく見たら、「6000本のなかから選んだ才能」とかあった。
「じゃあ、コメディじゃないよな…気づけよ」って自分のいい加減さにため息。