2017年12月4日月曜日

故郷  −フリーダム− (詩)


シベリアからやってきた狼、
自由を剥がれ、牙を剥がれ、
瞳はセメントに縫い付けられ、
動物園の4メートル四方の鉄格子の中で、
 過ごす。


だっだっだっだ、だっだっだっだ、


同じ景色をぐるぐる歩き、
想う力が錆び、眠る力が錆び、
臭覚はセメントより硬くなり、
ストレスが4メートル四方の鉄格子の中を、
 廻る。


だっだっだっだ、だっだっだっだ、


1ミリのねじれもなく、1秒のねじれもなく、
春夏秋冬、朝々暮々、ルーティンする足裏が、
4メートル四方の鉄格子の中で故郷を、
 探す。


だっだっだっだ、だっだっだっだ、


絶対経済と来園者に支配され続ける狼、
想い出を落とし、夢を落とし、希望を落とし、
今だけを持ち、
絶望が4メートル四方の鉄格子の中で、
彷徨う。


だっだっだっだ、だひゅだひゅだひゅう、


ーーーーーーーー、 人の世で生きた狼、
ーーーーーーー、   屍をぬけいでて、
ーーーーーー、     鉄格子を抜け、
ーーーーー、       銀河を抜け、
ーーーー、         夜を抜け、
ーーー、           故郷に、
ーー、             還る。




※実際は縦書きの詩です。








2017年1月11日水曜日

再度、五葷について。

なぜ五葷が悪いのか、以前のブログに書きました。
http://hot-lava-japan.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html

しかし、書いた本人のワタシですが、肉饅頭の件だけでは納得には及ばないのです。
五葷を避ける生活をしていて何かの拍子に五葷を口にしてしまったときのグルグル感は、「五葷は普段食でない」と言い切れるくらいの危ない強さがあるのは確かです。

量や使い方を間違えば毒にもなる漢方があるように、
五葷も薬なのでは?と感じる強さです。
しかし、薬と言っても日常的に素人が扱える程度の薬です。

例えば、
「父ちゃん、最近、疲れが激しくて、夜も寝てばっかし…」と愚痴るかーちゃん。
ニンニクを手にして「そうだ、とうちゃんの今夜のおかずにコレ混ぜよう」

「ウチの息子が風邪で寝込んじゃってね」
「じゃあ、コレでみそ汁作れば?」とネギを渡す。

祝いの日、久しぶりに生魚や生贄のお下がり肉などを食べる時、
「獣肉の臭いは強いからこの臭いのキツい野菜で中和しよう」と料理に使った五葷は、毒消しも兼ねていたのでは?と思います。(健康上、肉は毒(躯に悪い)ですから)

五葷は、それくらい強いのです。
でも、五葷を摂り過ぎて死ぬようなことはないですから、医学用ではなく家庭用漢方だったと思います。

また、五葷の毒消しの仕組みは、摂取した人自身の内蔵を傷つけることによって、火事場のバカ力を出させたと思います。
…と思います。という不的確な表現で申し訳ないのですが、自分の躯での実験でそう感じます。

現代人の多くは、肉も食べれば五葷も食べます。しかも毎食です。
強い薬でも毎回ずーっと飲み続けていると、最初のころ飲んだ量くらいでは効かなくなってしまいます。少ない量だから薬効があるのに、量が多くなると毒にもなります。
病気でもないのに、頭痛薬や風邪薬を毎日毎回飲む人はあまりいないでしょう。

五葷は食べ物ではありません。
五葷は薬です。

だから、健康な人が食べてはいけないのです。



2017年1月8日日曜日

祈り(詩)


春風と花遊びに夢中な幼女(おさなご)の時が止まる。

幼女(おさなご)は瞳を潤ませた子牛に見つめられ、その子があまりにじっと見つめるものだから、自分と牛の違いがわからなくなった。


夕立が走った、

トラックの荷台から、潤んだ瞳が幼女(おさなご)をとらえる
夕立が上がった、
トラックは入道雲に呑み込まれ、うろこ雲が流され、寒空に幼女(おさなご)は待ち続けた。



友は

肉になるために旅立ったと教えてもらった。


友が

クリスマスの皿の中にいた、肉の塊となって。


これは

ありがたくいただく食物だと教えてもらった。


いただきますもぐ……もぐ

幼女(おさなご)は、毎日毎日、泣きながら、食べた。


いただきますもぐもぐ……むしゃむしゃ

乙女は、毎日毎日、悩みながら、食べた。


いただきますむしゃむしゃ……ぱくぱく

少女は、毎日毎日、自分を納得させながら、食べた。


いただきます…ぱくぱく…ぼりぼり…

娘は、毎日毎日、何も考えずに、食べた。


ぼりぼりぱくぱくむしゃむしゃもぐもぐ

女は、笑いながら、お肉を食べていた。


何かを間違ってしまった。


ぼりぼりぱくぱくむしゃむしゃもぐもぐ

ぼりぼりぱくぱくむしゃむしゃもぐもぐ

ぼりぼりぱくぱくむしゃむしゃもぐもぐ


なんてことをしんたんだろう


何度も何度も、毎日毎日、謝った。

涙は雨になり、祈りは風になった。

シトシトビュービュー



初めて幼子を見つけた、大きな瞳。

風に舞う花びらを追う、微笑む瞳。

トラックに乗せられた、哀しむ瞳。

肉片工場に押込まれた、怯える瞳。


潤んだ瞳はもう誰も見つめない。


何度も何度も、毎日毎日、謝り続けた。

シトシトビュービュー

シトシトビュービュー

大雨が恨みを流しても、

大風が間違いを吹き飛ばしても、



シトシトビュービュー

罪は消えない。