2017年12月4日月曜日

故郷  −フリーダム− (詩)


シベリアからやってきた狼、
自由を剥がれ、牙を剥がれ、
瞳はセメントに縫い付けられ、
動物園の4メートル四方の鉄格子の中で、
 過ごす。


だっだっだっだ、だっだっだっだ、


同じ景色をぐるぐる歩き、
想う力が錆び、眠る力が錆び、
臭覚はセメントより硬くなり、
ストレスが4メートル四方の鉄格子の中を、
 廻る。


だっだっだっだ、だっだっだっだ、


1ミリのねじれもなく、1秒のねじれもなく、
春夏秋冬、朝々暮々、ルーティンする足裏が、
4メートル四方の鉄格子の中で故郷を、
 探す。


だっだっだっだ、だっだっだっだ、


絶対経済と来園者に支配され続ける狼、
想い出を落とし、夢を落とし、希望を落とし、
今だけを持ち、
絶望が4メートル四方の鉄格子の中で、
彷徨う。


だっだっだっだ、だひゅだひゅだひゅう、


ーーーーーーーー、 人の世で生きた狼、
ーーーーーーー、   屍をぬけいでて、
ーーーーーー、     鉄格子を抜け、
ーーーーー、       銀河を抜け、
ーーーー、         夜を抜け、
ーーー、           故郷に、
ーー、             還る。




※実際は縦書きの詩です。